【書評】敗者のゲーム 〈原著第6版〉

これから投資を始めていきたいと考えている方にぜひ手にとっていただきたい「敗者のゲーム」は、これまで投資顧問会社や投資銀行などの経営やコンサルティング、調査を手がけてきたチャールズ・エリス氏が執筆した、投資の指南書として全米で100万部を超えるロングセラーとなっています。

市場に勝とうとすることは無意味である

本書では、まず投資において市場に勝とうとすることは無意味であると指摘しています。

株式市場は常に上下を繰り返していますが、多くの投資家は高い値段で買い、安い値段で売ってしまうという行動をとってしまうことも珍しくありません。特に、個人投資家が市場に乗って売買して儲けようとする行為は、投資経験や専門知識が豊富な機関投資家と戦っていることを認識すべきであるとしています。

また、短期的に売買を繰り返していると売買手数料の他、税負担など他のコスト負担が増えていることも認識しておくべきであると指摘しており、これらをトータルに考慮すると、結果として投資そのものが「敗者のゲーム」になっていると指摘しており、個人が投資を行うには市場を受け入れる姿勢が重要となるとしています。

感情をコントロールすること

投資を行うには短期的な視点ではなく、運用目的に応じて長期的な視野で取り組むことが重要であるとしていますが、その秘訣としては感情をコントロールして、自分自身に勝つことであるとしています。

株式市場では「ミスター・マーケット」と「ミスター・バリュー」の2人が存在し、ミスター・バリューは感情的で不安定な心理状況を持っている人物で、みんなから注目される行動を取ることで多くの人を引き寄せているとしています。ミスター・バリューは、常に市場の動向に関係なく財やサービスを生産し続けている人物で、最終的にミスター・バリューがミスター・マーケットに勝つとしています。

ミスター・マーケットのいたずらによって、多くの投資家は不合理な行動を取り続けるとしていますが、これに惑わされず、ミスター・バリューが稼ぐ収益や配当に着目することが重要であると指摘してきます。

運用目的を明確にし守り続けていく

投資では、運用目的を明確にした上で、その目的に合わせてリスク許容度を策定し、その目的を忘れずに投資を続けていくことが重要であるとしています。

リスク許容度は、収入や年齢、資産保有額、投資に関する知識など人それぞれ異なっており、ご自身が置かれている立場を理解した上でリスク許容度を明確にし、運用目的を設定します。

例えば、年齢が若く将来的に使う予定がまったくない資金があれば、リスク資産である株式での運用が可能になりますが、近々住宅を購入するなどまとまった資金が近い将来必要となる場合は安全な運用を行う必要があります。

投資は単純に目先の利益を得るのではなく、運用目的を明確にし、市場がどういった状況であったも冷静に判断して運用目的を厳守していくことが重要であるとしています。

投資を始める前に読んでほしい一冊

本書は、これまで個人の投資でありがちだった、市場の値動きに着目して売買を繰り返す手法について無意味であると指摘しており、本当に投資で成功するための考え方のほか、その秘訣をわかりやすく解説されています。

これから資産形成のために投資を始めてみたいと考えている方、短期取引でなかなか勝てず長期投資で腰を据えた投資をしてみたいと考えている方、株式市場が暴落して感情のコントロールが難しくなったと感じたときに、手にとって読んでみたい一冊です。

敗者のゲーム〈原著第6版〉
日本経済新聞出版社
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