【書評】挑戦と進化の経営 SBIグループ創業二〇年の軌跡 北尾 吉孝 (著)

2019年6月にSBIホールディングスの株主総会に出席した際、「挑戦と進化の経営 SBIグループ創業二〇年の軌跡」を手土産としていただき読了いたしましたので、こちらにて所感を記載いたします。

2019年6月27日(木)、ホテルオークラ東京で開催されたSBIホールディングス株式会社第21期定時株主総会に出席しました。約40分程度の株主総...

創業20年間の経緯と成長のヒント

SBIは2019年7月において創業20周年を迎えることになります。これまでの20年間という長きに渡る事業経営から金融会社としてここまで成長した経緯を深く知ることができます。

SBIホールディングス代表の北尾氏は野村證券に入社し、同社に努めた後、ソフトバンクグループの孫正義氏に引き抜かれ、財務を中心とする管理部門を努めた後、SBIホールディングスの前提となるソフトバンクファイナンスを立ち上げます。

国内には数多くの金融機関が存在しますが、旧態依然としており手数料も高止まりしている中、北尾氏はこれまでの野村證券での勤務経験により得た金融の知識とソフトバンクでの勤務経験で得たITの知見により、金融とITを融合したオンライン証券やネット銀行など今の中核となる事業を立ち上げ成長につなげていることは多くのところで語られています。

SBIがソフトバンクグループからなぜ離脱し、その後もどのようにして継続的な成長を遂げたのか本書ではより詳しく知ることができます。

SBIが金融業界の中で最も成長を遂げた秘訣

SBIはソフトバンクから独立してわずか55名でスタートした会社ではありましたが、同社がここまで飛躍的に成長を遂げた秘訣は以下の3点が大きなポイントであります。

1.企業生態系の確立
2.経済環境の変化への対応
3.最先端の技術などを取り込み新たな新潮流への対応

企業生態系の確立は、これまでの日本企業のように単純にリスクヘッジ目的で多角化し多くのグループ会社で異なる事業を行うのではなく、役割別にグループ企業間においても互いに送客を行うなど相互にシナジーを生み出し、グループとしての価値を最大化している部分にあります。

また、経済環境のへの変化も時代とともに経営環境は大きく変わることは、多くの経営者もご存知ではあるかと思いますが、どのようにして時代の変化に対応すべきかは大変むずかしいところです。ビジネスは変化に対応できるものが生き残れると言われるほど、変化に対応しなければ企業としての存続は難しくなり、まさに多くの日本企業が試練に立ち向かっている状況であると思います。

関連して、3番目の最先端の技術などを取り込み新たなビジネスを構築していくのも、時代の変化への対応になりますが、単純に早期に新技術を導入すれば良いということではありません。対応が早すぎて、当初予想していたのと比べあまりニーズがなかったなど失敗につながってしまうことも多くあります。

北尾氏がこれまで実施してきた企業生態系の確立と経済環境への変化への対応、最先端技術などの取り込みで新たなビジネスの構築をこれまでどのようにして行ってきたのかを本書では詳しく記載されています。企業経営にとっても大きなヒントにもつながります。

北尾氏が大切にしている経営哲学

北尾氏はSBIグループ全体を牽引するにあたり、中国古典を参考にした経営哲学を採用されています。

SBIグループを牽引する上で、「人には人徳、企業には社徳」という言葉を大事にされています。高い社徳があれば事業は上手く行き社会から高い評価が得られるようになります。高い社徳を維持するためにも、同社が掲げている「顧客中心主義」など、細かい取り組みを積み重ねて、顧客の利便性と利益を第一優先にしその評価を積み重ねた結果が今に至るのではないかと考えます。

近年では日本企業は不祥事が多く発生している中で、企業のあり方について問われているのも事実です。目先の利益を優先した結果、後々になって悪い結果となって帰ってくるのは企業だけではなく、個人でも同じことが言えます。

企業経営者だけではなく、個人でも「徳」を高め、周囲から高い評価を得ることで結果として大きなリターンを得る上でのヒントも多く記載されています。

企業経営者はもちろん、経営に興味がある方など多くの方にとって、経営や生き方について多くのヒントが得られる一冊となっています。

挑戦と進化の経営 SBIグループ創業二〇年の軌跡
幻冬舎
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