米国軍アフガン撤退における米国経済への影響と予想される驚異

2021年8月末を持って米国のバイデン大統領はアフガニスタンから米国軍を完全に引き上げることを表明しました。20年間続いていたアフガンとの争いに終止符を打つことになりますが、米国としてはアフガンに留まることで同国の利益にならないと判断したことが撤退の理由としていますが、アフガン国民と世界的には再びテロ驚異が増す懸念が出るなど賛否が別れています。米軍のアフガン撤退後の米国経済への影響と考えられる驚異について考えてみました。

米国軍がアフガニスタンから撤退した背景

米国のバイデン大統領は、20年間続いていた米国軍のアフガニスタン常駐から2021年8月末をもって完全に撤退することを表明しました。これを受けてタリバンが新政府を樹立し、新たな国家を構築することを表明しています。

米国軍がアフガンに駐在する事になった出来事としては、今から20年前に米国ニューヨークの世界貿易センタービルに2機の旅客機が衝突したテロ事件であります。テロの犯人としてアルカイダ系テロ組織の代表であるビン・ラーディン氏の関与が疑われた後に、同氏をタリバンが匿っていることが指摘されたことにあります。

その後、米国はアフガンを侵攻し新共和国を樹立することで、タリバンの活動拠点を抑え込みを行うと同時に、国家の立て直しを行いました。しかしながら、同国は貧困問題も深刻化し様々な問題を抱える中、根本的な問題解決には程遠い状況もありました。米国が多くの資金を投じ、国家再建に尽くすものの、その資金がまともに使われること無く、20年間実施米国がアフガンに投資した資金の回収は叶わず、これ以上の投資は不可能であると判断しバイデン大統領は撤退の決断を下すに至りました。

米国はエネルギー供給を中東に頼る必要性は無くなった

米国がアフガンを見放した大きな要因は投資資金の回収見込みが立たなくなっただけではなく、エネルギーの供給元を中東に頼る必要性もなくなったことにもあると言えます。

シェール革命により、米国は同国内で石油を補えるようになっており、中東に頼る必要性もなくなっているのも事実です。米国は地下深くにある硬い地層に含まれるシェールオイルを採掘する技術が確立されたことで、米国の原油生産量は20年までの10年間で倍増となり、エネルギー自給率はほぼ100%となっています。

中東情勢が悪化しているのも、欧州による植民地化による国の分裂、西側諸国の価値観の押し付けによるイスラム制度の崩壊といった反発から始まり、石油といったエネルギーの供給をめぐる対立が要因となっています。

また、近年では二酸化炭素の排出量の削減の観点から電気自動車が増えるなど、動力として石油の活用場面は減っており、近い将来石油の需要は減少することも予想されています。米国や欧州にとっても中東に侵攻して以降、今後も将来的に投資を継続していく必要性は減っているわけです。

そのため、アフガンから撤退したことで、これらに投資していた資金を米国内における他の政策に充てることも可能になり、米国内のみの観点から見ると米国経済にとってはプラス材料となります。

中国の逆転と再びテロ驚異による米国の世界の立ち位置を揺るがす恐れも

今回、アフガンから米国軍が撤退したことで、事実上の敗北宣言となった形となり、別の意味では米国軍の勢力が弱体化したことを露呈したことにもなります。

米国内のことを考えると中東に石油を頼る必要も無く、アフガンで費やしていた無駄な資金の流出懸念もなくなり米国経済のみの観点で言えば良いこと繋がりますが、世界的には再び驚異も増すのも事実です。

近年では中国の軍事強化が叫ばれており、米国軍に引けを取らない軍事力を保有する国となっており、米国軍の弱体化がこのまま進めば、極端は話、世界が中国化してしまう驚異もあります。また、アフガンがタリバン政権が新政府を樹立したことで、再び米国内のみならず、米国と関係性が深い国々にとってもテロの驚異が増すことになります。

米国はトランプ政権から自国第一を掲げた政策が強化されていましたが、この自国第一主義が表面化したとも読み取れます。アフガンへの投資失敗により中期的には米国経済にはプラスとなっても、長期的にはテロや中国の軍事進出が相次げば米国経済にも必ずその影響が何かしら返ってくることは容易に想像できます。

日本でも他人事ではなく、石油の輸入の8割を中東に依存していますが、今後中東情勢が悪化した場合における日本経済へのリスクも懸念されます。特に電力について福島原子力発電所の事故以降火力発電に依存していますが、この状態で本当に脱原発すべきかよく検討する必要もあります。