中国不動産大手「中国恒大集団」の経営破綻懸念強まる、世界経済および株価への影響は?

中国不動産大手「中国恒大集団」の経営破綻懸念が強まり、中国株式市場を中心に経済への悪影響を懸念する声が広がっています。中国は不動産価格が高騰していた状況が続いていましたが、中国習政権が「共同富裕」を打ち出し不動産価格の高騰を抑え込んだことを筆頭に経営が厳しくなり工事の中断が相次ぎ債務不履行の懸念が強まっています。今回は中国恒大集団の影響が世界経済及び株価にどのように影響するのか考えてみます。

中国恒大集団とは中国不動産開発大手企業

出典:https://www.evergrande.com/

近年報道を中心に日本でも耳にする機会が増えている中国恒大集団(こうだい)は、中国の不動産開発大手企業です。日本国内ではあまり馴染みがない会社ではありますが、日本で例えると、三井不動産や三菱地所、住友不動産といった企業になります。ただし、中国恒大集団の企業規模は日本に不動産開発企業を遥かに上回る規模であり、一時は時価総額5兆円を上回り、日本の大手不動産開発企業を何社か合体させるほどの規模があります。

同社は、借入金などを多用し中国国内で不動産開発をすすめるほか、吸収合併(M&A)を通じて企業規模を拡大させてきました。特に、同社の企業成長を後押ししたのは、借入金の他、中国で続いていた不動産価格の高騰も大きく寄与していました。

借入金を梃子に、不動産価格も上昇するなか、借入金を次から次への増やした結果、負債額は20年12月時点で日本円にして約33兆円、負債比率は1328%を超えました。その最中に、習政権による「共同富裕」が打ち出され、不動産価格を統制し価格上昇を抑え込む中、借入金を利用した経営に行き詰まり、多額の借金が手元に多く残りその返済が厳しくなっているという事態に発展しているわけです。

中国株式市場を中心に世界の株価が大きく下落

中國恒大集団(3333.HK)の株価推移

中国恒大集団の債務不履行の懸念が大きく報じられる中、同社の株価は、2017年10月に最高値を更新して以来、2021年9月時点では9割近く下落しています。また、今回、同社が債務不履行が現実となれば、同社一社の問題ではなく、世界中の金融市場への影響が広がることは確実であり、中国株式市場はもとより、世界中の株価も大きく下落しています。

中国株式市場では、恒大集団の問題が出る前から、習近平主席によるITハイテク企業への規制を強めていたことで、世界的にも注目されている中国ハイテク銘柄を中心に株式市場が軟調な展開が続いていましたが、中国恒大問題はそれに輪をかけるように、不動産株も次々に売られる他、同社に融資をしていた金融株も大きく売られようになっています。

また、同社は中国国内を中心に事業を展開しているものの、中国市場は巨大であることから、前述した通り、同社は企業規模も大きいことから、世界の金融機関からも多くの融資を受けていました。米国の投資会社であるブラックロック社は日本円にして約440億円の同社の債券を購入していることを明らかにしています。

更に、厄介なのは金融機関や投資会社が債券を購入したことで、それが他の個人投資家や機関投資家が購入可能な投資商品に組み込まれている可能性が高いという点です。

リーマンショックど同等の経済危機も囁かれる

中国恒大集団の問題は、リーマンショックと同様の経済危機が再びやってくるのではないかとも囁かれています。前述した通り、同社が発行した債券が多くの金融機関や投資会社を通じて、様々な投資商品に組み込まれている可能性が高いというところで、同社が万が一、債務不履行となった場合、同社だけではなく、その取引先の経営破綻につながるだけではなく、それらに関連する債券を組み込んでいる投資商品が売られる他、その損失を補うべく、他の有価証券についても次々に売られていくという流れが予想されます。

リーマンショックにおいても、サブプライム層に特化した住宅ローンの債券を多くの投資商品に組み込まれていたため、債務不履行が相次いたことで多くの米国のリーマン・ブラザーズが破綻したほか、多くの投資商品や有価証券が売られ、世界で最も大きな金融危機に繋がりました。

リーマンショックまでは米国が台頭しており、金融市場で影響を及ぼしていたのは米国となっていましたが、リーマンショックを機会に中国が世界で台頭をし続け、今では中国の動向が世界の金融市場に大きく影響を及ぼすことが増えています。例えば、米中貿易摩擦から始まり、新型コロナウイルスの感染症拡大による経済危機など、近年の株価下落影響はほぼ中国から来ているといっても過言では有りません。

世界的な経済への影響は無ではないが、中国政府の動向次第

中国恒大集団の債務不履行懸念は、これが現実となれば当然ながら世界の金融市場に大きな悪影響を及ぼし、第二のリーマンショックとなることは予想されますが、その後の対応については中国政府がどう出るか掛かってくると言えます。

習近平主席は、自身への思想教育など強化していますが、その発端となったのが香港のデモにあり、これが中国本土に飛び火すると国家への存続問題へと繋がります。中国の歴史を勉強すると、これまで何度も国ができて崩壊し、また新しい国ができて崩壊を繰り返してきました。

そのため、中国政府は今でも厳格な統制を続けけることで国家を維持しようとしているわけですが、今回の不動産価格の高騰抑制についても、不動産価格への高騰に対して不満を持つ人民が増えれば増えるほど、デモなどの頻発が予想され国家安定の懸念が強まることに繋がります。そこで、不動産価格を抑制し多くの人民が不動産を買いやすくすることで人民の生活を向上させることで政府への不満を解消させ国として長期的に発展させていく目的で「共同富裕」を打ち出していることにあります。

ただ、不動産価格の抑制により不動産企業へ悪影響が出る中、企業破綻が相次ぎ金融危機につながればこれが返って中国政府への不満につながり「共同富裕」の政策は失敗に繋がりおそれもあります。習近平主席にとっても自身の顔に泥を塗るようなことはしたくないため、金融危機を回避する政策を打ち出すことが予想されます。ただし、中国恒大集団への直接救済は「共同富裕」と矛盾した政策となるため可能性としては低いと考えられます。

いずれにしても、習近平主席にとっては、共同富裕と金融危機回避を両立する必要性を迫られており、大変な困難になることは予想されこれが成功できるかに注目が集まっています。