米国政府が上場企業への自社株買いに課税へ、投資家への影響は?

米国政府は2023年1月より上場企業に対して自社株買いを行った際に課税する方針であることを歳出・歳入法により決定しました。日本国内では大きな話題とはなっていませんが、国内からも米国株への投資が用意になる中、投資家としては企業の自社株買いの動向及び株価への影響が気になるところです。今回は米国上場企業の自社株買い時の課税による投資家への影響を考えてみました。

米国政府が上場企業の自社株買いに課税へ

米国政府は2023年1月より米国上場企業に対して自社株買いを行った際に1%の課税を行うことを、歳出・歳入法により決定しました。

今回の課税の背景としては、近年高まる物価高による対策として企業が従業員への賃上げに企業収益を充ててもらうことや、企業の設備投資を促し、さらなる米国経済への発展を目指すことにあります。

今回の課税により、740億ドルの歳入をもたらすとしており、今後上場企業による自社株買いの動向が注目されます。

一方で、自社株買いの実施額が年100万ドル未満の場合や、組織再編の一環での実施、買い戻した自社株買いが職金制度や従業員持ち株制度といった従業員向けに活用される場合は課税対象外となります。

自社株買いは株価の上昇要因になり投資家にとっては注目の出来事

自社株買いとは、簡単に説明すると自社の株式を買うことで、企業が事業活動で得た利益を当てることが一般的で、多くの利益を稼ぐことで、1株あたりの純利益(EPS)を押し上げる要因となり株価は上昇するため、投資家にとっては大変嬉しい出来事となります。

上場企業は株主の出資によって運営が行われており、稼いだ利益は株主に還元するということは本来の姿ではありますが、近年では企業活動の恩恵が投資家ばかりに向いていしまい、従業員などへの利益還元が疎かになっているとの指摘もあります。

米国上場企業で自社株買いが多い企業としては、Apple(AAPL)で2021年通期の実施額は859億ドルとなります。S&P500指数に組み込まれている上場企業による自社株買い額を調べてみると、2020年第1四半期は1,990億ドル、2020年第二四半期がコロナの影響で減少しましたが890億ドル、その後は徐々に額が増え、2021年第二四半期は1,990億ドルまで回復しています。

自社株買い課税による株価へ影響は殆ど無しだが今後の動向に注意

2023年1月に自社株買いに課税を行う方針が決定したことを受けて、米国株式市場への影響は殆ど無く、1%程度の課税であれば自社株買いの実施有無への影響は軽微であるとの味方が優勢となっています。

一方で、米国国内の課題である格差拡大が是正されない場合は、上場企業への圧力も次第に高まってくるものと思われます。この課税比率が1%から10%になることも考えられるわけです。

また、自社株買いの課税が強化されるとなれば、配当金の増額といったことで、株主への利益還元が増えることも考えられますが、配当金を支払う場合払う側も受け取る側も課税されるため、現状としては自社株買いのほうが、節税につながるのは言うまでもないでしょう。

そのため、投資家はより一層、米国政府への動向については注視しておく必要が有るといえます。