小田急電鉄が2022年3月のダイヤ改正で上り急行を町田止まりにした理由とは?

大分前の話になりますが、2022年3月に鉄道のダイヤ改正が行われ、JRに続き、関東の私鉄各社でもダイヤ改正が行われました。コロナ禍で電車の利用が減少しているという状況の中で、コロナ禍で利用者が減少への対応や、混雑をできるだけ緩和できるような改正が目立っています。その中でも、特に気になったのが小田急の上り(新宿方面)の急行が日中町田止まりとなったことにあります。

コロナ禍でのダイヤ改正、鉄道各社収益回復急ぐ

2022年3月に鉄道各社がダイヤ改正を行いました。これまで利用者が増えていた関東の鉄道であり、例年のダイヤ改正で利便性が高くなることが通常では有りましたが、今年のダイヤ改正は逆に、利用者の減少が続くことを想定して、鉄道各社の収益確保を優先した改正が目立った印象があります。

特に、印象に残ったダイヤ改正としては、私が普段利用している小田急本線において新宿方面の急行が日中「町田」止まりになったことです。それ以外にも、人気観光地を結ぶ小田急江ノ島線においても、藤沢駅を堺に江ノ島方面と新宿方面の直通列車が一部時間帯や有料特急を除き無くなったことも大きな改正となりました。

小田急の上り急行が町田止まりに、車両数も6両に

朝の通勤時間帯を除いて、急行が新宿まで行かなくなったので、日中に都心に出かける場合は、快速急行(有料特急に次ぐ優等列車)に乗る必要が出てくることから時刻表に合わせた予定を立てることが必須となっており、若干移動に不便を感じるようになっているのが正直なところです。

例えば、本厚木駅から乗車する場合、日中は快速急行が1時間3本、急行が3本利用できますが、そのうち3本の急行が町田止まりになるため、乗り換えなどを減らして乗るためには快速急行に乗ることになります。もちろん、急行で町田に乗り換えるという方法もありますが、町田で乗り換えると確実に座れないことも多いことや、急行がこれまで10両編成だったのが6両になったことで混雑度が増している印象があり、コロナ禍で混雑を避けたいという状況のなか、急行に乗車するという選択肢はほぼ無くなりつつあります。

関東私鉄各社は、これまで都内の地下鉄に直通するなどして、都心への交通利便性を高める動きが相次いており、JR東日本が新宿経由で神奈川と埼玉方面、北関東を直通する「湘南新宿ライン」を2003年に開通させたのを皮切りに、東京を経由して南関東と北関東を結ぶ「上野東京ライン」を開通させました。その後、私鉄各社でも同様の動きが加速し、東急電鉄では、横浜と渋谷を結ぶ東横線において、地下鉄副都心線と直通させることで、都心のみならず、西武池袋線、東武東上線とも乗り入れ、横浜から埼玉西部方面を一本で行けるようになるなど、都心直通の動きが加速している状況ではありました。

小田急の場合は、昔は多摩線からの一部列車が地下鉄千代田線に乗り入れていましたが、今は本線からの準急が千代田線に乗り入れていますが、殆どが新宿が終点となります。(千代田線乗り入れも今回のダイヤ改正で減少)東急などと比べて走行距離が長いこともありますが、今回のダイヤ改正で都心まで乗り入れない列車を減らした理由には以下のような理由が考えられそうです。

運転手の人手不足への対応

近年では、鉄道業界においても運転手の人手不足が指摘されています。今回町田止まりになっているのは、コロナ禍による利用者の減少と言う理由も多きとは推測されますが、運転手不足のため、それに見合ったダイヤを設定せざる得ない状況となっていることも背景としてありそうです。

鉄道業界は新型コロナウイルスの影響を大きく受けており、それに伴う離職者も一定数居るものと思われます。また、少子高齢化で採用も難しくなる中、少ない人員で列車を運行することが求められます。

前述で急行が6両編成になった旨を記載していますが、元々6両編成での運行は、小田原駅から新松田駅間で普通電車が折り返し運転を行っていました。新松田から小田原駅間では6両編成しか対応できない駅も存在することや、都心方面と比べ利用者が減少するという理由がありました。この折り返し運転を行っていた普通電車を新松田折り返しを止め、直通して急行に転換することで一人の運転手で対応しようとするものです。

利益率が高い有料特急ロマンスカーの乗車を促す?

急行が町田止まりになったことや、江ノ島線において藤沢で分割されたことで、新宿まで1本で座って移動したい方にとっては若干不便な状況となっているのは言うまでもありませんが、小田原駅の時刻表を見ていると面白いことに、急行町田行きの次は有料特急のロマンスカーが到着するように設定がされています。

小田原から快速急行もしくは急行で新宿まで行く方と有料特急で新宿に行く方の割合は不明ではありますが、快適性や利便性を考えると、急行で新宿まで行くという選択肢は低くなり、有料特急を利用して行くほうが速達性はもとより、快適性や利便性が高まります。

小田急電鉄の決算を見てみると、コロナ前の決算期である2020年3月期の企業集団全体の売上は5,341億円でありましたが、2021年は3,860億円、2022年は3,588億円で大きく落ち込んでいる他、2023年3月期も4,000億円、営業利益は246億円を予想しておりとコロナ前の売上回復とは程遠い状況にあります。

可能な限り、利益率が高い有料特急ロマンスカーを利用してもらうことで、収益回復を急ぎたい狙いがあるものと考えられます。