日銀が24年ぶりに為替介入へ、その資金源は何処から捻出したのか?

日銀は、過度な円安の進行を抑える目的で、24年ぶりに為替介入を実施しました。日米との間で金利差が大きくなる中、円を売って米ドルを買う動きが加速し1ドル145円台をつけるなど円安の進行には歯止めがかからない状況ですが、今回日銀が為替介入を実施した際の資金源は何処から捻出したのか調べてみました。

1ドル一時145円台で為替介入を実施

2022年9月22日の円対米ドルの為替推移。介入後一気に140円台まで上昇

日銀は、2022年9月22日に過度な円安の進行を抑える目的で、外貨を売って円を買う為替介入を24年ぶりに実施しました。このタイミングで為替介入を決断した要因としては、22日の外国為替市場においては、午後5時ごろに1ドル145円台に推移したことにあります。

米FRBのパウエル議長が利上げを継続する以降をFOMCで述べたことから、日本の為替市場においても投機的な円売りが相次いている状況で、これが急速に為替が円安に推移した要因ともいえます。日銀が円買いを行ったことでわずか40分で1ドル140円台と円高に推移しました。その後は142円から143円台前後を推移する動きとなりました。

今回の為替介入では、財務省から正式な発表はありませんが、およそ3兆円規模で行われたという統計が出ており、約24年前の1998年の介入時をやや上回る規模となることが考えられます。

2022年1月から対米ドルで30円も円安に推移

2022年1月からの円対米ドルの為替推移

円安の進行には歯止めがかからない状況ではありますが、これの発端としては当サイトでも記載していますが、米FRBのパウエル議長が利上げを継続している意思を示していることにあります。そのため、外国為替市場では金利が低い円を売って金利が高いドルを買う動きが加速していることが円安を進行している状況になっているわけです。

利上げを行うと、企業が資金調達を行う際に金利条件が悪くなるため、企業は資金調達を控える動きが進むことから株式市場での負の影響を及ぼします。実際に、米国株も大きく下落しており、ダウ工業株30種平均は9月末時点では、年最安値となる2万9,000ドル台で推移しています。

2022年1月は、1ドル115円台で推移していましたが、この9ヶ月で30円以上の円安に推移しています。

為替介入の原資は外貨準備金

約24年ぶりの為替介入を行う事になりましたが、その原資としては外貨準備金が充当されます。外貨準備金は、現金(米ドル)として全てそのまま持っているのではなく、その大半が有価証券となっており、主に米国債であるとされています。

財務省によると、外貨準備金は日本円にして180兆円程を保有しており、そのうち預金は19兆円程度であるとされています。

一方で、今回の為替介入は、日銀が急遽介入を決定することになったことから、換金まで時間を要する有価証券ではなく、預金を充当したことが考えられます。

為替介入を行う場合においても、一時的には為替は円高に推移しますが、その持続性という側面で考えると効果は限定的であると考えられます。

いずれにしても、上昇企業の業績はある程度底堅い状況にはなっているのもの、国内は国民一人一人の賃金上昇もままならない中、その恩恵を全ての方が受けられる状況にならないと、利上げも難しく暫くの間は、為替は円安で推移していくものと思われます。

この記事を書いた人

私は投資家として国内、米国、中国株式を中心に運用を行っています。また、新たに法人を設立し、新規事業の開業準備を進めています。