金融機関各社で仕組債の取り扱い停止相次ぐ、該当商品の問題点は何か?

銀行を中心に金融機関各社が仕組債の取り扱いを停止しています。仕組債は高い利回りが期待できることを売り文句に高い利回りを求めたい銀行を中心に個人へ販売を行っていましたが、顧客との間で問題も相次いでおり、取り扱いを見直す金融機関が増えていることが背景としてあります。

仕組債とは何か?

仕組債とは、お金を貸した際のその証書である債券の一つでありますが、通常の債券であれば国や企業が投資家からお金を借りる際に、額面に応じた有価証券を発行し、それと引き換えにお金を借用し、毎月決められた利息を投資家に支払うシンプルなものです。

一方で仕組債は、単純な債券とは異なり、オプション取引を利用することで日経平均株価といった株価指数、個別企業の株価、為替相場に連動させるように常に評価額が上下するため、高い利回りが期待できる一方で、その分損失も大きくなる可能性があります。

また、似たような商品として仕組預金という商品を扱っている金融機関もありますが、こちらは債券ではなく預金として銀行が顧客に提供しており、仕組預金を利用することで株価や為替の変動に応じて高い利回りが期待できるものとなります。

近年の低金利状況により金融機関各社は個人へ販売を強化

仕組債や仕組預金の販売が個人へ広がっている背景としては、近年の低金利状況にあります。銀行は借りてに支払う金利と貸してからもらう金利の利鞘によって商売を行いばますが、低金利状況が続く中、利鞘の幅は縮小し、思うように収益をあげられない状況が続いています。

そのため、金融機関では個人向けにカードローンなどを強化する、今回のように利回りが高い仕組債や仕組預金を顧客に提供することで、より多くの収益機会を作る目的があります。

銀行では仕組預金を利用する顧客に対して、優遇サービスを強化している事例も多く散見されます。例えば、新生銀行では仕組預金を利用する顧客に対して、30万円以上の運用で毎月200ポイントを付与しています。

仕組債を購入した顧客とトラブル相次ぐ

仕組債の販売を停止する金融機関が増えている背景としては、仕組債を購入した顧客とトラブルが相次いでいることにあります。

三井住友銀行やみずほ銀行など都市銀行の他、地方銀行でも販売停止を表明する金融機関が相次いでいますが、その多くは、仕組債について内容をよく理解せずに購入した顧客が、元本割れとなり金融機関へ苦情を出すという事例です。退職金といった纏まった資金の運用や投資初心者などが、目先の利回りを求めて運用に踏み出すといった事例も多いとのことです。

仕組債や仕組預金そのものが悪い金融商品であるということではなく、収益を増やしたい金融機関と運用利回りを増やしたい顧客との考えが一致した形ではありますが、実施するのであれば、顧客への丁寧な説明や定期的な学習会などの実施などで金融機関と顧客の両者が利益追求できる環境を構築することがまずは重要となってきそうです。

この記事を書いた人

私は投資家として国内、米国、中国株式を中心に運用を行っています。また、新たに法人を設立し、新規事業の開業準備を進めています。