習近平新指導部が発足、今後の中国株の行方は?

2022年10月23日に、中国共産党大会と第20期中央委員会第1回全体会議において習近平新指導部が発足しました。今回の発足で異例の3期目となり、長期政権は確実となり、中国経済の行方にも懸念の声が聞かれます。今回の習近平新指導部の発足による、今後の中国株の行方について考えてみます。

2022年10月23日に習近平新指導部が発足

中国共産党の習近平総書記は、3期目となる最高指導部を発足させました。市場では習近平氏が引き続き最高指導部の地位につくことは予想されていましたが、これが現実となった形です。

本来であれば最高指導部は党大会時に68歳以上は退任するという規定が設けられていますが、習近平氏は既に69歳に達しており、この制限を無視し、周囲の人物を同士の側近で固める異例の人事となりました。

今回の党大会においても、経済や市場、改革といった単語の使用頻度が低下し、台灣との統一などを念頭においた政治体制への強化を進めていくものと予想されます。

今回の習近平新指導部の発足で、同氏への権力集中は必須で、同氏が暴走すると止める役が居なくなるなど、政治リスクも高まることが懸念されています。

新指導部発足による経済懸念より香港ハンセン指数は6%近く下落

香港ハンセン指数の推移。習近平新指導部発足に伴い15,000ポイント近くまで大きく下落

今回の習近平新指導部の発足により、素早く反応したのは株式市場で、香港市場を代表する株価指数である香港ハンセン指数は24日の取引で6%近く下落しました。

また、習近平氏が敵対視していたハイテク銘柄においても、多くの銘柄が下落し、中国のITハイテク銘柄を指数かしたハンセンテック指数も6%近く下落しました。特に大きな下げが目立ったのは、騰訊控股(0700.HK)が約11%下落、阿里巴巴集団(9988.HK)が約10%下げ、習近平氏による長期政権によりITハイテク企業への締め付けが長期化するとの懸念があります。

特に香港市場は外国人投資家が多く、今回の習近平氏の経済及び市場への言及の無さや、これまでの経済政策からリスクマネーを中国市場から引き上げる動きが相次いでいます。

今後の中国株式市場は地政学リスク意識、半導体や軍事、エネルギー産業有力か?

習近平氏による長期政権により、中国経済のこれまでのあり方は大きく変わる可能性があります。既に同氏の政策により中国経済は大きな打撃を受けていましたが、胡錦濤元国家主席が2012年まで行った政策では中国の経済成長を大胆に促進し、中国発のハイテク企業など世界的にも注目に値する企業の成長も促していました。

この節目が変わったのは、習近平氏が国家主席となる2期目で、同氏はこれまでの経済成長の基盤は踏襲はしていたものの、富が一部の大企業などに偏っていることなどを問題視し、ITハイテク企業への締付けや、学習塾規制、不動産規制など企業活動における規制を矢継ぎ早に打ち出しました。さらに、新型コロナウイルスの感染症拡大防止対策として厳しいゼロコロナ政策を打ち出すなど、次第に内向き志向な政策に移行するようになります。

3期目に入る今、中国株式市場においては大きな変革期となることを予感しています。台灣との地政学リスクを意識するとともに、万が一の事態が発生すると欧米諸国からの経済政策の発動などのリスクもあります。そのため、中国株式市場への投資についてはリスクを大胆に取ることは大変危険なことであり、限られた銘柄でより慎重に行うことが望ましいと言えます。

今後欧米諸国からの孤立などのリスクも懸念される中、産業の内製化も加速することも予想され、習近平氏が重視する半導体や軍事、エネルギーといった内需分野への投資が中国株式市場を下支えすることになると予想されます。

この記事を書いた人

私は投資家として国内、米国、中国株式を中心に運用を行っています。また、新たに法人を設立し、新規事業の開業準備を進めています。